フランケンシュタインの憧れ

日が長くなるにつれ、気温が暖かくなり、雪も溶けて消えました。

この時よりフェリックスはいつもより忙しく働くようになったようですが、
一家を苦しめていた食糧難は解消されたようでした。

彼らの食事は質素なものでしたが、健康的で、
またその量も十分のようでした。

庭には新たな草花が顔を出しはじめていました。

季節の変化を告げるこうした徴は日に日に顕著になっていきました。

しかし、フランケンシュタインの生活は単調なもので、
彼は午前を小屋の一家の活動を観察して費やし、
彼らが自分たちの仕事を為すためにどこかへ行ってしまうと、
何もすることが無いので眠りにつくのでした。

夜になると、フランケンシュタインは森の中へと出掛けていき、
そこで自分の食べ物と小屋の一家のための薪を収集しました。

夜中、フランケンシュタインは、
フェリックスから見よう見真似で覚えた仕事を、
小屋の住人達のためにしておくのでした。

朝、彼の仕事を見た小屋の住人達は非常に驚きましたが、
彼らはそれを「妖精」か何かの仕業だと信じたのでした。

彼らは口々に”good spirit”とか”wonderful”と言っていましたが、
フランケンシュタインはそれが何の事なのかを
この時はまだ理解できませんでした。

フランケンシュタインはいよいよ
小屋の一家のことをもっと深く知りたいと
思うようになりました。

彼らが何を感じ、いかなる動機で活動しているのか。

フランケンシュタインはそれを心から知りたいと思ったのでした。

フランケンシュタインにとってとりわけ気掛かりだったのは
フェリックスがとても沈み込んでいるように見えること、
そしてアガサが悲しそうにしていることでした。

I thought (foolish wretch!) that it might be in my power to restore happiness to these deserving people

私は、(愚か者めが!)彼らの幸福を
取り戻してやる力が自分にはあるのではないか、と思った。
彼らに相応しい幸福を取り戻してやる力が。

フランケンシュタインが眠りに落ちると、
彼の眼前には、盲目の尊敬すべき父、優しいアガサ、
そして卓越した青年フェリックスの姿が甦ってくるのでした。

フランケンシュタインは、いかに彼らと接触するか、
そして、彼らが自分に対してどんな反応をするかを、
幾度となく想像の中で描いてみました。

I imagined that they would be disgusted, until, by my gentle demeanour and conciliating words, I should first win their favour and afterwards their love.

彼らは私を嫌悪するはずだ。
しかし、私は丁寧な振る舞いと和解的な言葉によって、
はじめは彼らの好意、そしてゆくゆくは
愛情をも得ることができるだろう。

こんなふうに私は想像したのであった。

 

はじめて人間の友人を得るという想像は、
フランケンシュタインの心を非常に励ましました。
また、彼らと言葉を交わすという場面を想像することで、
語学への学習意欲もいっそう向上していったのでした。

フランケンシュタインの声は
人間のように優雅なものではありませんでしたが、
彼は習得した言葉を十分明瞭に発音できるほどになっていたのです。

季節はいよいよ春めきたち、
フランケンシュタインの心も
迫りくる幸福な転機への期待に満たされたのでした。

the past was blotted from my memory, the present was tranquil, and the future gilded by bright rays of hope and anticipations of joy.

「過去」は私の記憶から拭い去られた。
「今」は静かに落ち着いている。
そして「未来」は明るい希望の光と喜びへの期待で輝いていた。