こんにちは、Nakachiです。
今日は、サイキの物語の後半を
お話しましょう。

psych-というプレフィックスは
「心」に関係しています。

  • psychedelic (音楽などが)幻覚的な
  • psychic power 心霊力

では物語の後半にいってみましょう。


前回までのあらすじ

世の美少女サイキは、
その美貌のため愛神ヴィーナスの
嫉妬を買ってしまう。

謎の宮殿で恋人クピド(ヴィーナスの息子)と
生活するも、クピドは決してサイキに自分の姿を
見せようとしない。

サイキは夜中にこっそりクピドの正体を
つきとめようとするが、
クピドはサイキが「自分の姿を見ようとしない」という
約束を守らなっかたので、
サイキのもとから飛び去ってしまう。

サイキの物語(後編)

ヴィーナスのゆるしを求めて

イキは事の一部始終を
2人の姉に話しました。

すると姉たちはこう思いました。

「きっとクピドは私達のどちらかを妻にするはず。」

そう期待して、彼女はクピドのもとに
行くため、宮殿のあった山に登り、
頂上で風の神ゼファニヤを呼び、
崖から飛び降りました。

しかしゼファニヤは現れず
二人の姉はそのまま落下し
死んでしまいました。

サイキは途方に暮れ、
食事もろくにとらず、
クピドの姿を探し求めて彷徨います。

するとサイキは偶然、
寺院を見つけました。
その中には、鎌や熊手など、
農作業のための道具が
乱雑に置かれていました。

サイキにはこの寺院が
きっと神の住処だと思い、
散らかっていた農具をきれいに整理しました。

その寺院は実際に、農耕の神ケレスのものでした。

ケレスは敬虔なサイキをみて、
言いました。

「あなたに愛神ヴィーナスの怒りを鎮める
手段を教えてあげましょう。
自分でヴィーナスのもとに行くのです。
そして許しをこいなさい。
ヴィーナスは怒りをおさめ、
あなたの夫を返してくれるでしょう。」

サイキはケレスに従い、
愛神ヴィーナスのもとに向かいます。

サイキの試練

ヴィーナスはサイキに言いました。

「お前のせいで傷ついたクピドの心は
まだ傷ついたまま。
お前がクピドの妻としてふさわしいか、
私が試してみるまでは、
お前をクピドの妻にするわけにはいかないよ。」

そう言ってヴィーナスはサイキの
忍耐を試すために、サイキに試練を課しました。

まず、サイキに納屋に行くように命じられました。

そこではいろいろな作物がごちゃまぜになっています。

サイキの仕事は作物を種類ごとに
区分けして、積み上げることでした。

しかし、あまりの仕事の量に
サイキは途方に暮れてしまいます。

これを見たクピドはアリを操り、
作物を運ばせます。

アリ達はまめまめしく働き、
ついに作物は種類ごとに積まれました。

これを見たヴィーナスは言いました。

「これはお前の仕事じゃない!
クピドの助けがなかったら、
こんなことできやしない。」

そう言ってヴィーナスはサイキに
黒パンを投げ与え、去っていきました。

翌朝、ヴィーナスはサイキに命じます。

「ごらん、川の向こうのあの森には
金色の毛の生えた羊の群れが草を食んでいる。
あそこに行き、黄金の羊毛を取っておいで。

サイキはまず、川を渡らなければなりませんでした。

サイキをみて憐れに思った川の神は言いました。

「サイキよ。あの羊たちは太陽の力で
炎の息を吐き、不用意に近づくと焼かれてしまう。
羊たちが日陰に行って休むのを待ちなさい。
彼らが眠ったころ、木の幹や茂みで彼らの黄金の毛を
集めるのです。」

サイキは川の神の言われたようにし、
主人ヴィーナスのもとに黄金の羊毛を持って帰ります。

ヴィーナスは言いました。

「これもお前の力ではないね。」

ヴィーナスはサイキに最後の試練を
与えることにしました。

最大の試練—黄泉への旅—-

の箱をもって黄泉の国に下りなさい。
そこで黄泉の国の王プルートの妻プロセルピナに
会うのです。

プロセルピナに会ったら、こう言うのです。

”私の主人ヴィーナスからお願いがございます。
最近、ヴィーナスの息子クピドが病気になり、
心配のため彼女は美貌をいくらか失いました。
だからプロセルピナよ、あなたの美貌を少しだけ
分け与えて欲しいのです。”」

サイキは今度は本当に絶望し、
死を覚悟しました。

サイキは高い塔に登り、
ひとおもいに身を投げようとします。

そうすればすぐに黄泉の国へ行けるでしょう。

するとはるか下の方から声が聞こえます。

「サイキよ。お前は今まで不思議な力に
何度も助けられてきたでないか。
どうして絶望し、こんな仕方で死のうとするのだ。」

そしてその声は、黄泉の国に行くには
ある洞窟を通ればいいことを教えてくれました。

そうすれば恐ろしい地獄の番犬ケルベロスを
避けることができます。

さらに、声は言いました。

「プロセルピナが箱に「美」を詰め込んでも、
絶対にその中を見てはいけない。」

サイキはこの声に励まされ、
黄泉の国へと向かいました。

地獄の花嫁プロセルピナと美の秘密

泉の国でサイキは豪華な食事で
もてなされましたが、サイキは決して
何も口にすることはありませんでした。

サイキは地獄の花嫁プロセルピナに会い、
サイキの箱はプロセルピナの美の秘密で満たされ、
蓋をしてサイキに返されました。

サイキは喜びに満ち溢れ、
来た道をひきかえします。

しかし、サイキの心に抑えがたい好奇心がわいてきました。

「この箱に入っている美の秘密を
少しだけ私の頬に塗っても罪にはならないわ。
そうすればクピドにきっと喜んでもらえるはず。」

そう思い、サイキは箱を開けます。

箱の中には何も入っていません。

入っていたのは「地獄の眠り」だったのです。

解放された「地獄の眠り」はサイキを捕らえ、
サイキは死のように深い眠りにおちてしまいました。

それに気づいたクピドはサイキのもとに
天使の翼でやって来ます。

クピドはサイキの体から「地獄の眠り」を
取り出し、サイキを目覚めさました。

天界で

奇心のため、
お前はまたも死んでしまうところだった。
さあ、起きてお前の仕事をやり遂げるんだ。」

そう言ってクピドは空を駆け上がり、
神々の王ゼウスのもとに向かいます。

クピドはゼウスに彼らの恋の事情を話し、
ヴィーナスを説得するよう頼みました。

ゼウスはクピドの願いを聞き入れ、
ついにヴィーナスは怒りを鎮めたのでした。

クピドは次に、神々の使者メルクリウスを
サイキのもとに遣わします。

天界でサイキを迎えたクピドは、
サイキに神々の飲み物アンブロシアを
差し出します。

「これをお飲み。
そうすれば不死身になれる。
僕はもうお前から離れることはない。
僕達は永遠に結ばれよう。」

こうしてサイキとクピドは結ばれました。

ほどなくして、二人には
「喜び」という娘が生まれました。

まとめ

これでサイキの物語は終わりです。

サイキはギリシア語で「蝶」とか「魂」を
意味します。

蝶ははじめ、イモムシとして
地上で生活しますが、
いづれサナギになり、
空を自由に飛べるようになります。

サイキは、最後に天界でクピドと
結婚する前に、3つの試練を通り抜けなければ
なりませんでした。

サイキは人間の心を象徴する
アレゴリーです。

僕達が経験することの中には
辛いことも含まれます。

でも、その苦しみは
より大きい幸福を受け入れるための
準備なのです。

サイキは宮殿のなかで
クピドと何不自由なく暮らしていました。

しかし、決してクピドの姿を
見ることができませんでした。

サイキはクピドの姿を見ようとしたために、
宮殿での快適な生活を失い、
試練を受けることになります。

しかし、それは全て
クピドと天界で結ばれるための
準備でした。

サイキには蝶の意味もありましたよね。

イモムシは蝶になるために
サナギにならなければなりません。

サナギの期間は、地味ですが、
蝶になるために欠かせないものです。

きっとイモムシもサナギの中で
古い自分と戦っているのでしょう。

古代人は神話を創造する過程で
本能的に苦しみと幸福の関係を
理解していたのですね。